さて病院に行ったのですが…
驚きました。
こんなに患者さんがいるんだって事に…
前の日は、よく眠れなかったにも関わらず
目が冴えて、仕事中もやたら集中出来たのが不思議な位眠くならなかった…
ある意味、興奮状態にあったのかもしれません。
予約をしたものの急だったせいか、なかなか名前を読んで貰えず、待合室で待ってました。
するとご主人らしき男性と一緒に女性が呼ばれて、二人で診察室に入って行きました。
出て来た時は、ご主人と深刻そうな顔つきだったので、何を言われたかは聞かなくても想像がつきます。
「次は私かな?」
それでも呼ばれず、後から入ってきた患者さんに先を越された。
「ま、いっか…」
仕事に戻る訳でも無いからノンビリしよう…
と、考えた途端に名前を呼ばれ、慌てて荷物を持ち上げました。
小さな着替え室に案内されて軽いガウンのような羽織りモノに着替えると最初にレントゲンを撮影してマンモグラフィに移動した。
技師さんはホームページ通りに女性だった。
それから、着替えると今度はエコー室に移った。
その前で暫く待たされた。
ここで先生が登場した。
「集団検診で引っかかったの。」
「じゃあ、エコーでみるから」
「今度は針を刺します。3回音がするからビックリしないようにね。」
「痛いのか~うーん、これが痛いとガンなんだよね…」
先生からポンポンかけられる言葉に返事が追いつかない…
「本当に乳がんなの…?」
一通り検査が終わると診察室に移動した。
まだ、寒い冬の日だったから着込んでいたせいもあり、着替えるだけでいっぱいいっぱいだった。
看護士さんが気遣って声をかけてくれました。
「多分、一週間後位に結果が出ると思いますよ。○日頃はいかがですか?予約が入るか見て来てあげますね。」
この会話が聞こえたらしく、先生が声を張り上げた。
「何言ってるの?この子はガンなのは間違い無いし、遠くから来てるんだから、スグに診断して紹介状書くから…」
そして診断の結果を伝えます。
と、続いた言葉が
「ステージは1ね。だけど場所が悪い。
北斗晶さんの乳がん知ってる?」
コクンと頷きながら「ハイ」と言うと
「アレと同じ場所。だけど大きさは半分位かな?」
「上手くやれば温存もあるけど放射線療法が必要だからね。全摘をお薦めするね。」
「全摘…」
まだ、自分の置かれた場所がわからない。
乳がん、全摘…
胸を取ったらどうなっちゃうの!?
不安が顔を強ばらせ、緊張して喉が乾いて声が出ない。
「地元と東京、どっちで治療する?」
質問が始まった。
スグに答えなくてはならない雰囲気に押される。
今は東京に働きに来てるんだから…と咄嗟に
「東京でお願いします。」
「あっそう。地元じゃなくて、東京で治療…だとしたら『虎の門』をお薦めするね。いいかな?」
『虎の門』とは虎の門病院のこと…
あの本を買ったせいか?それとも引き寄せられたのかな?
「じゃ、紹介状書いとくから来週取りに来て…」と、言いながら電話をかけ始めた。
色々込み入った話の合間に予約の話が入った。
待たせられた間に他の患者さんはいなくなっていたから、先生も余裕があった。
「○日は急な手術らしくて無理だけど、△日には大丈夫だから直接行って 。ボクの紹介状があれば予約無しに診てもらえるから…次回は検査の結果と紹介状渡すから忘れないようにね。」
電話までかけて10日後の予約を入れてくれたがこの時はまだ結果が出ていなかった。
「もし、ガン(悪性)じゃなかったら行かなくて良いから…
でもね。ボクの見立てでは10中8、9ガンだから…多分、10年前位から出来てる。検査は毎年受けてたの?」
「いえ、10年位前なら乳腺炎の疑いがあって、一度マンモグラフィを受けた事があります。でも、問題無かったんです。」
「なんでそれから毎年チェックしなかったの?乳がんは自己責任だよ。」
と、強い口調で言われると
「自己診断はその時教わったので、ちゃんとやってました。シコリも無かったし、自覚症状は全く無かったんです。ここ1年位は風邪もひいてないです。」
と言い返すと
「確かに…よく初期で見つかったなぁ。うん」
と、口調が変わった。
試されたのかな?と、思い
「今日は急に予約を入れたにも関わらず、診察して下さりありがとうございました。どうぞ宜しくお願いします。」
と、お礼を告げて診察室を後にしました。
口調はキツいが、今思うと患者さんにとって正しいと思う事をキチンと実践している先生だと思いました。
言いにくい事をズバズバ言ったり、聞いたりするが診察はとても気が効いていた。
寧ろ、早く結果を伝え、余計な診察費や診察日数を使わないところに好感が持てた。
この先生のこの気遣いが理解出来たからこそ、手術入院で退院した翌日から仕事に復帰できる主治医と巡り会う事が出来たと思うと感謝である。
「イメージは現実になる。」
数年前から自己啓発で勉強してきた言葉だった…
イメージは現実になるものなのだという事が実際に起きるようになってくるのである。