今日はある署名人の出版記念講演会があったので新宿に出掛けました。

講演会は時間通りに終わり、土曜出勤をしている友人を待って食事に行くことになりました。

「まだ時間がありすぎる…」

サイン本が欲しかったから、購入していなかった新刊を読むべきかと一瞬よぎったのですがその目の前に現れたのが

「献血キャンペーン」

ちょうどフィギュアスケートも開催していてポスターでは羽生結弦が笑顔でこちらを見ています。

「ハーセプチン前だし、今のうちにやっておきますか?」

と時間潰しも兼ねて献血に行ってみる事にした。

 

以前、献血したのは約20年位前の事…

問診を受けて血圧を計り、すべて機械まかせです。

自動血圧計で計って出てきた結果紙を担当に渡すとパソコンに入力。続いて問診はタブレットを使ってタッチパネル形式。

直接声に出さないのでかなり突っ込んだ内容でした。

『その中に過去1年以内にケガ、手術をしましたか』

と、いう質問がありました。

正直に『はい』と付けると更に詳しく設問が出てきました。

『手術の内容は何ですか』

ここにも『がん(悪性腫瘍)』の項目があったのでタッチしました。

 

すべて終わるとカードにデータが移されて渡されました。

「温かいお飲み物を飲んでお待ち下さい」と言われ、販売機に向かうと全て無料で色々あった。

珍しかったのでオニオンスープを戴いて待っていると名前を呼ばれ、献血前検診ルームに入りました。

中には白髪の先生が優しい笑顔で迎えてくれました。

カードの入ったパッケージからカードを取り出してパソコンに差し込むと

「2回目ですね。」

「はい、しかも10年以上前です(//∇//)」

と伝えると

「そうだねぇ…初心者みたいなモノだね」

と更に笑顔になった…その次の瞬間、笑顔が止まった。

「手術…がん?なんだったの?」

「乳がんです。来月から点滴が始まるのでその前にと思って…」

言いかけた私に真顔になった先生は

「今日はできません。」

え?

まだ、ハーセプチン前ですよ。

取り切っていてガンは今は無いんですよ。

と、心の中で叫びながら

「どうしてですか?」

と冷静に聞いてみた。

「乳がんだと見えないガンがどこに転移してるかわからないからムリだねぇ」

「そうですか…じゃあ、10年後ですね。」

10年後…と、言ってみるとその頃には治っている気持ちになるから不思議です。

「せっかく来てくれたのに申し訳ないね。」

「いえ、こちらこそお役に立てず、ゴメンナサイ」

笑って返すと

「これから治療が大変だと思うけど頑張ってね!」

と励ましてくれました。

私も「先生も大変だと思いますけれど頑張って下さい」と返しました。

10年後の約束です。

かなり年配の先生でしたから、それまでお仕事されていらっしゃるかわかりませんが、必ず10年後に献血に行こうと思いました。

 

 

投稿者 よし子

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