あの日は本当に待合室はいっぱいでした。
呼ばれた方には「すっかりお待たせしてしまってスミマセン」と挨拶されたりしていました。
先生は声が大きくハキハキ話されるので診察室の外まで会話が漏れて聞こえてきます。
(ほとんど先生の声しか聞こえませんが…)
そんな待合室で隣に座っていた女性に声をかけられました。
「私11時から待っているのにもう16時になっちゃった」
「後から来た人に先を越された気がする」
「きっと重病なんだと思うの」
「私は全摘しちゃったから関係ないんだけど…」
そこまで話を聞いて、私も口を開きました。
「私もですよ」
「え?そうなの?」
「はい、左胸を全摘してます」
「あらそう?若く見えるのに…」
「そんな事は無いです。北斗さんと同じで場所が悪かったんです。
でも、がんはいわゆる顔つきの良いタイプでしたから、
全部取っちゃえば安心です。」
「そうよね。ヘタに残すと再発するって言うわよね」
「はい、ですから取っちゃいました。」
「この年だから大したこと無いと思ったんだけど胸が大きかったから片方無いとバランスがね…」
「私は胸が無かったのでそこらへんは大丈夫でした。」
と言うと二人でニッコリしました。
話は更に続いて
「やせていていいわね。私太っちゃったからまた先生に怒られちゃう!」
「それは先生は怒ってないですよ。だって、ご自分の事でしょう?」
「うん、先生もそう言ってた。私、薬も飲んでるのよ。」
「どんな薬ですか?」
「ジェネリックで…」
「フェマーラですか?」
「持っているから…(鞄から取り出して)あら、フェマーラだわ。良くわかったわね。」
「私も飲んでますから…」
「薬の副作用で太るのよ。ほらアグネスチャンも副作用で苦労したって言っていたから…」
「(フェマーラの薬について簡単に説明して)がんに与えるエサを断っているのに、太っちゃったら薬を飲んでる意味がなくなっちゃいますよ。それじゃ、薬の副作用だってキツくなると思います。副作用は薬が効いている証のようなものだと思うから、副作用が嫌なら自分で脂肪を作らない努力も必要だと思います。…それでも食べるなら、運動すれば良いんじゃないですか?」
「そうなんだけど、なかなか出来なくて…」
「お散歩はどうですか?私は出来るだけ歩くようにしていますよ。」
「続かなくって…」
「そうだ!お買い物好きですか?ウィンドーショッピングとかは?」
「お買い物は好きよ。ウィンドーショッピングなんか大好き!あっという間に2時間位経っちゃうのよね~」
「それですよ!運動と思うとツラいけど、好きな事ならあっという間に時間が経っちゃうじゃないですか。2時間歩けるなら十分過ぎる運動ですから、雨の日も暑い日もデパートなんかの室内なら大丈夫ですし…」
「それはいいわね。」
こんなやり取りをしていたら、彼女の番号が表示されました。
診察室から出て来た彼女は明るく手を降って帰って行きました。
フェマーラはガン細胞に対して兵糧責めをするお薬ですから
「薬を飲んでるから」
って脂肪を蓄えるような事をしてたら意味無いと思うんです。
そこはアカモク食べたり、ガゴメ昆布とかもずくでしょ?!(某予備校講師風に…)
ちなみに…
私の順番がきて番号が表示された後、モタモタ入ろうとしていたら、名前を呼ばれてしまいました。(こういう事が待ち時間を増やすんですよね。反省・・・)
血液検査の結果が良かったので、つい調子に乗って
「最近、食欲が出てきました」
と言ってしまったら、やっぱり
「その食欲に任せて食べ過ぎないようにね」
と注意されました。
なるほど…
先生はやっぱり親身になってアドバイス下さるんですね。
食欲も満たされるように野菜中心でフコイダン摂取に勤めます。
何と言っても食べるハーセプチンですから…